OPAMP+BUFFER基板をつくって見るの巻き!

これはNOSDAC3のアナログ部を単純に抜き出したもので、

 OPアンプIV回路 + バッファー(サレンキーのLPF込み)

の構成になっています。あとはアクティブDCサーボ回路も入っているので、出力のゼロオフセット可も容易です。
もっとも、つかうサーボ用に用いるオペアンプを間違わないようにしないといけません。
FET入力の、オフセットが小さいものが必要です。間違ってバイポーラのオフセットの大きいものを使ってしまえば、
かえってDCサーボの回路が悪影響を及ぼします。

回路図はこんな感じ
入力部分は差動構成にもできるように、すこし抵抗を追加しています。
もちろん単にIV変換回路とする場合はR1,R2,R3は不要でジャンパーにするか取り付けないかで済んでしまいます。

片チャンネルの回路図。

基板はこんな感じ
なにも考えずにつくった基板!というより、NOSDAC3からそのまま抜き出した形なので部品番号も連続性がなかったりします(汗)。
それに、動作も確認しないままリリース!ってか。

製作した基板。意外と小さく感じてしまいました。


組み立ててみました

部品はすべて汎用品です。トランジスタはC1815/A1015だし、抵抗は金属皮膜1/4W。
オペアンプはOPA134(入力)とOPA2134(サーボ)としています。
すべて部品箱から調達したものになります。
組み立てた回路はIV回路としていますので、部品には未実装のところがいくつか見えます。
基板パターンには裏面に半田ジャンパもあるので、これを利用すれば製作もちょっとだけ楽になります。


実装後の写真。安物の部品ばかりです。


使用したオペアンプ。左側はOPA134。シルクが薄くて見えにくい。


半田ジャンパー(左)も意外と便利だったりします。


DAC63S−miniにつなげてみよう

といってもすでにケースに組み込み済みのDAC63S-miniを実験につかうとクチャクチャになりそうなので、
もう1枚作ることにしましょう。

まずはDAI部分の小さい部品を取り付け

そしして次はDAC回りの部品をとりつけます。PCM63Pはソケットにしましょう。
アナログ部分の部品は不要なので取り付けません。用いた電解コンデンサなどはすべて一般工業品です。


だいぶ完成!

最後に電源回りのレギュレータ、コンデンサ、ダイオードを取り付けて完成です。
約1時間もあればできあがります。

完成!

電源コンデンサは秋月で購入したもので4本100円だったと思います。
容量も大きいのでこれで十分でしょう。

安価なコンデンサをつかってみました。

どのくらいかかるのだろう?

今回久しぶりにDAC63S-miniをつくりましたが、どのくらいかかるか計算してみました。
基板セット  ×1    7800円(もちろん私の場合はこれより安いです)。
抵抗     ×12    36円
フィルムC ×6      180円
電解C   ×12    120円
電解C大  ×2     50円
レギュレータ×5    350円
ICソケット ×2     200円
-------------------------------
               8736円

もっともアナログ部の部品は含まれていないし、いずれの値段も有る程度の数を購入したときの値段ですから、
あまり参考にはならないと思いますが、概ね基板だけで1万円弱くらいはかかる感じです。

まずはDACの動作確認

DAC単体での動作チェックをしておきましょう。これで動かなければシャレになりません。
トランスはRSの18Vのトロイダル(30VA)を接続。横着して半波整流接続しています(いわゆるCTはつかっていない)。
1次側の電圧は20.9Vです。アナログ部の電圧が15Vですから、ちょうどいいでしょう。
ディジタル信号を入れて出力をモニターしますが、DACの出力に100Ω程度の負荷をGNDに対して入れて、
信号を観察します。DAC自体は電流出力ですから、このようにしないと上手く信号が観察できません。
まずは無事に動作確認できました。

DAC単体での動作チェック


信号確認には抵抗負荷を接続

OPAMP+BUFFER基板の接続

DAC単体での動作チェックもできたので、OPAMP+BUFFER基板を接続してみましょう。
接続は簡単で、電源線(3本)をつないで、DACの出力をそれぞれIN-に入力するだけです。
入力側についてはGNDはつなげていません。不要なGNDループができないようにするためです。
シールド線をつかうのなら、OPAMP+BUFFER基板側のみにGNDを接続すればいいでしょう。

OPAMP+BUFFER基板と接続してテストの様子

DAC63S-miniからの電源の取り出しと信号線の取り出しの様子です。電源線はOPアンプのパッドからとりだしまました。


電源と信号線の取り出し。

動作確認完了!

問題なく動作することを確認しました。音質のチェックはケースに入れてから行いたいものです。
その前にこの状態でチェックする項目がいくつかあります。
それはPCM61P用のPCM63P変換基板です。これのチェックのために、わざわざPCM63Pは直付けせずに、
ソケットにした訳ですから。

やっぱり試聴してみましょう。

ここまで組み立てて、音を出さないのもなんなんで、接続ケーブルをとりつけてアンプにつないでみました。
アンプはHPA-2をベースにしたヘッドホンアンプです。
で、音を出してみて最初の印象は「NOSDAC3みたいだな〜」でした。
考えてみれば当たり前で、DACはPCM63Pだし、出力回路はディスクリートでNOSDAC3と同じだし、
NOSDAC3とは共通点が多くありました。
音を簡単に表現すると聞いていて楽しくなる音です。
細かい音がでるとか、Dレンジが広いとかそういった細かいとこは抜きにして、音楽が楽しめる音だな、と思いました。
簡単に試聴するつもりが協奏曲を丸々1曲通して聴いてしまいました。

出力にケーブルを取り付けれて試聴準備。

つぎはPCM61P変換基板をつくってみよう。


バーブラウンではマルチビットの多くのDACの入力インターフェイスは同じですから変換基板があれば
1つのDAC基板でもいろいろなDAC-ICが試せます。パーツBOXに眠っているICを覚醒させるいい機会です。
というわけでPCM61Pを鳴らしてみましょう。

PCM61PをDAC63Sで使うための変換基板

変換基板の組み立てはいたって簡単です。まずチップコンデンサを4個取り付けてソケットと連結ピンを半田付けするだけです。
連結ピンは太いほうを基板に挿し、細い方をDAC基板のICソケット側になるようにします。
これを間違えてしまうと、ICソケットに挿入できなくなってしまいます。

まずはチップコンデンサの取り付け              16PのICソケットの取り付け。


連結ピンを取り付け(太いほうが基板側)          PCM61Pを取り付けて完成

DAC63S-mini側の変更はJP3になります。JP3はデフォルトで”L”側に設定されているので、このパターンを切って
ジャンパー線で”H"側にします。これでディジタルフィルターの出力は18ビットモードになります(DAC63S-miniのマニュアルに書いてあります)。

DAC63S-mini側の変更

さて聞いてみましょう。
PCM63Pと入れ替えて聞いて見ましょう。音源は先ほどと同じピアノ協奏曲です。
最初の印象は「軽快な音だな〜!(ちょっと軽い?)」です。いままではPCM61Pは中音域に迫力の音なのに対して、
PCM63Pはどちらかといえば繊細の感じを持っていましたが、なぜか評価が反転してしまいました。
PCM63Pの方が迫力あります。なぜだろう?たぶん聞くボリュームによっても印象は大きくかわるので、
条件を一致させなかった問題があるのかもしれません。あるいは、回路間の相性でしょうか。
まあ、あまり深くは考えずに、違いが得られたことを良しとしましょう。

PCM61に変更して試聴

ケースにはいつ収まるだろうか・・・・

(つづく)