次なる企画(電源編)? 2006.3.18

BBSでの話題でアンプの電圧増幅段用の高電圧用の安定化電源があがってきました。
OPアンプをつかった回路では、オペアンプへの供給電圧や、出力電圧の制約から高電圧化ができない問題もあります。
ということで、またまたR.さんたちのお知恵を借りて回路を検討してみましょう。

わたしからはディスクリオペアンプのA3回路をベースとして下記のような回路を出してたところ、
「A3は1段増幅なので、FETのGmにゲインが左右されるので、ディスクリ電源を検討する際に私から
お送りした4石の定電圧回路よりは性能が劣りそうです。
定電圧回路は出力に大きなCが接続されるので、あまり高速広帯域であることのメリットはないと思います。
むしろA4ベースで初段をTRのシングル構成にした方が良いと思います。 」
との返事がありました。

A3回路をベースにして描いてみた回路。問題がありそうです。

R.さん「とりあえず、性能が出せそうな回路でシュミレーションしてみました。性能はそこそこ出せそうです。
詳細のつめは必要だと思いますが骨格はこんな感じでどうでしょうか?」

R.さんからの提案回路

なるほど。2段目をダーリントンにして初段の差動増幅への負荷を減らしているのですね。
かなりスッキリします。終段以外は2SC1815、2SA1015とすればお財布にもやさしそうです。

(2006.3.19)
ついでに負側の電源回路はこんな感じでしょうか。正電源と対称にしただけです。


正負回路にしてみました。
変更点はR.さんが書かれていたことを追加してみました。
・電流の制限回路は取り付ける  → 済み
・基準電圧はTL431+CRフィルター  → 済み
・基準電圧はTL431に固定抵抗を追加して、可変できるようにする。 → 済み

・誤差増幅、基準電圧は制御TRの2次側から取り出して、リップル電圧の影響を除去する。
 → これはうまくいきませんでした。基準電圧を制御TRの2次側からとるとシミュレーションでは電圧が立ち上がりませんでした。
   これをやるにはちょっと工夫が必要です。



(2006.3.20)
またまたR.さんからいただきました。
電圧が立ち上がるように回路を変更したとのことですが、TL431Aのモデルでは上手く動かなかった
とのことです。ツェナーを使用すれば動作するとのことのなので登録モデルの問題でしょう。
頂いたものに、保護回路を加えたものが下記の図になります。

ほとんどパワーアンプ並の回路構成になってきました。実際にはツエナー部をTL431と共用パターン
にすればいいのかもしれません。


これで最終版かな?と持っていたらR.さんより、ご指摘をいただきました。

「現在の回路では、電流検出の抵抗が制御TRの2次側に移っていますが、何か問題あったのでしょうか?
1次側にあった方が性能面で何かと良いのではと思います。
2次側につける場合も、誤差増幅の電源より制御TRよりにつけないと誤差増幅の電源が
負荷電流でゆすられてしまいます。
保護回路の動作ですが、過電流になった場合、電流を遮断するのでしょうか?出力電圧が下がる動作でしょうか?
完全にショートすると出力電圧が下がっただけでは保護が十分できない場合があるのではと思います。
あと、現在の回路ではパスコンが抜けてますので、1次側に平滑用の電解コンがない場合には、パスコンの追加が必要です。」

まだまだ修行が必要です。
で、修正したのが下記になります。


入力側のコンデンサは省略していますが、必要かな?
整流回路があると便利だけと、完全汎用を狙うと定電圧基板だけにした方がよいのかも。

とりあえず、正電源部分のみ部品配置を検討。(2006.3.26)
かなり細長い基板になりそうですが、正負にすれば適度な縦横比になるでしょう。


細かい詰めはこれからだけど、こんな感じでしょうか。(2006.3.28)



お気楽PAはページを分けました。

電源基板もアートワークはほぼ確定。これは結構なサイズです。長さが127mmになりました(2006.4.1)





基板到着!(2006.4.15)

さて、こちらもお手軽DAC2と同じくして、基板が到着しました。
電源が重要なことはよく理解できるのですが、電源基板としては意外と大きい感じがあります。というか大きい!
それだけ期待も大きくもってもいいということでしょうか

比較的大きな基板です。


本来、この基板はオペアンプより高い電圧をつかうことが主目的だけど、まずは±15Vで定数設計をしてみました。
シミュレートしてみると、この定数でも広範囲な電圧に対応できそうなので、VR調整で14〜50Vまで変更できるようにしました。
保護回路用の抵抗は手持ちの1Ωをつかいます。これで500mA程度は少なくとも流せますから、プリには十分でしょう。
さて、設計した定数に従って組み立ていきます。
といっても定数通りの抵抗が切れていたりしたら、その近辺の値を使って組み立てるのでかなりアバウトです。
まずは背の低い抵抗やダイオードから取り付けます。

 徐々に組み上がる基板です。

抵抗が実装できたので、次はトランジスタとシャントレギュレータを取り付けます。
この電源基板はトランジスタの数が多く、小型モールドのものが全部で22個もあります。
アンプではないので選別とか必要はないのですが、PNPとNPNだけは間違わないようにしなければなりません。
これを間違えると最悪は火をふきそうです。


小型モールドトランジスタを取り付け

さて、あとは大型の部品を取り付けるだけです。
今回用いた制御用のトランジスタは高電圧仕様にもできるように耐圧100Vで3A容量のものを選択しました。
品名はTIP31(NPN)とTIP32(PNP)です。セカンドソースも色々と出ているようで汎用トランジスタのようです。
日頃慣れている2SA***や2SC***という名称でないのでちょっと感が狂いますが、まあこれも慣れの問題でしょう。

末尾のCは耐圧100Vを表します。

のこりの部品を載せて完成です。といいながら実は制御トランジスタはまだ半田付けしていません。
コンデンサはディジットで@20円で売っていた低ESRのもので1000uF/50Vです。

まずは完成(?)写真。


通電してみよう!

トランスはお気楽DAC2でテストにつかったトランスを少し間借りしてきました。
これは出力12−0−12のものですが、入力は90V端子をつかっているので、実際には10%出力電圧が上がっています。
さて各部位の電圧を測定してみましょう。一次側の電圧は17.6Vくらいです。
VRを調整して電圧が変化するか確認してみましたが、大丈夫なようです。
まずは動作しているようで一安心です。

トランジスタは変更できるように外だしでつけています。

さて、なにか負荷をつないでみましょう。ということで、電子負荷を取り付けまして。
これは矩形波的に一定電流をON/OFFさせる機能があります。

電子負荷を接続。

一気に30V出力の設定
電子負荷も取り付けたついでなのでトランスもいれかえて高電圧出力にしてテストします。
トランスはRSの30−0−30Vのものをつかいますが、このトランスは115V仕様なので実際の出力は15%減になります。
一次整流後の電圧は37V強になりました。そのため出力電圧は30Vに設定しました。
この電圧設定も15Vからの定数変更無しです。
ただシャントレギュレータの電流制限抵抗がすこし発熱しているのでこれは変更した方がよいかもしれません。
さすがに1/4Wの抵抗で12.5mA/25Vを流すと定格を越えてしまいます。


トランスを変更しました。

まずはオシロで波形をみて見ましょう。負荷電流は100mAに設定しています。
上段が電流で、下段が出力電圧変動です。電流変動に対して電圧変動は3.5mV程度に収まっていますから優秀です。
これでプリやパワーアンプの電圧増幅段を作れば、動作の安定性がかなり保てそうです。

上段は電流(50mA/div)
下段は電圧(5mV/div)

つぎはもっと大出力電流でテスト!

パワーアンプへの適用も考えて出力電流を少し増やしてみましょう。
そのためにはトランジスタや抵抗を一部変更しなければいけません。

ワチャーやってしまいました。

なにげなく接続していたワニクリップの先が電源基板を直撃!このクリップはGNDにつながっていたのだが、
どこかの部品に触れたらしい。そのため負側の出力が入力とスルーになってしまいました。
壊れた所に目星をつけてTRを交換すると、今後は逆に出力が出なくなってしまいました。
こりゃ複数の部品がやられちゃったなか?
 故障個所を探すよりなんとなく作り直した方が早そうだが、面倒だな〜鬱。

ここはチョット頭を冷やして違う基板でもいじりましょう。

大電流を流すなら、お気楽PAの電源として作ろうと思います。
ということで続きはこちらに移動します。

(おしまし?)