DAC1704-4Dを改造するの巻き 2007.6.2

DAC170−4Dは自分のシステムのメインの1つ。PCM1704(24Bit)を片チャンネルに8個つかって4パラ差動構成としたDACで、
いままでつくったDACの中でももっともコストがかかったものの一つです(ちなみに、一番コストがかったのがDAC8D with PCM1704です)。
このDACは製作から約3年経ちますが、音もこなれてきて絶好調!(かな?)
これで全然不満はないので、下手に改造しようものなら後悔してしまうかもしれませんが、
改造自体が自作を趣味にする人の目的でもあるわけですから、止められませんね(笑)。
なにを、どうのように改造するかといえば、出力段のOPアンプをすべてディスクリート構成に改造してみようと思います。

しかし、DAC1704-4Dのケースの中は既に基板が一杯!
追加改造できるか、ちょっと心配になって来ました。
でも、やって見ましょう。

久しぶりにご開帳のDAC1704-4D。2トランスの左右独立電源構成で実装密度も高い。

IV+差動合成基板をつくる
改造はOPアンプのディスクリ構成化ですが、追加の基板をつかいます。
使うのはDAC1794-3の検討&試作時に併せてつくったIV+差動合成基板です。基板の穴ピッチについては
DAC1704-4Dにアドオンできるように合わせてあります。どのように合わせているかは後ほど。

フルディスクリートIV+差動合成基板。

まずは基板のミスを修正
試作した基板には2つほど、バグがありますので、それを最初に修正しておきます。
配線忘れなら、あとでジャンパーをとばせば対処できますが、誤って接続したところは切断しないといけないので、
少し面倒です。さらに接続先がGNDだったりすると、ちょっと面倒ですが、ミスの箇所が少なかったのは
不幸中の幸いでした。

ランドがベタ面に接触しているミス 接触しているところを切り離し。


 

間違ってGNDに接続 部品面のパターンははぎ取っちゃえ!


組み立て!
一番面倒なの種類も数も多い抵抗の取り付けですが、30mmのスペーサを予め取り付けておき、
その状態で抵抗やダイオードなど、部品面から半田付けできるものをすべて取り付けます。
その後に一気に部品面より半田付けして、最後にリード線を切断するという手法をとりました。

基板にスペーサをとりつけておくと抵抗が植えやすい。

できるだけローハイトに!
今回の改造では、DACの基板の上にこの基板を配置しますから、ケースの中には基板が4階建てになります。
そのため、各基板の厚さの制約があり、部品の高さは最大で10mmを越えないように取り付けていきます。
そのため出力段のトランジスタは90度曲げてから取り付けています。その他の抵抗もできるけ、足を短くしてとりつけます。
フィルムコンデンサはそのままの状態でも10mmちょうどくらいですので、問題なしです。

10mmを越えるトランジスタは90度曲げてとりつけ。

完成!
高さ制限から、電解コンデンサもすべて寝かしてとりつけています。
部品自体は一般工業品です。
トランジスタは2SC1815/A1015を中心に、差動入力部は2SK117(GR)をつかい、
終段は2SC3421/A1358(Y)をつかいました。

完成したIV+差動合成基板

動作確認!
動作確認は基板単体で行います。とくにDACに内蔵する必要はなしです。
電源をつないでIV回路の出力電圧がゼロに調整できるかという点と、
差動出力の電圧がゼロかどうかを確認するだけです。

でも、意外とポカミスなどがありました。
LEDが光らない・・・・LEDの向きが間違ってました。
IVアンプの出力が4回路のうち、2回路が僅かにゼロに達しない・・・FETを取り替え。やっぱり、簡単にでもペアリング必要なようです。
差動合成アンプの出力が約3Vと無茶苦茶な値・・・・トランジスタのNPNとPNPを1つ間違えていました。

まあ、これだけミスがあると、その対策だけで経験値が上がります(笑)。
 
動作確認は単体試験で済ませましょう。


いざ、DAC1704−4Dに組み込み!
DAC1704-4Dに作成した基板を組み込むにあたり、現状を確認しておきましょう。
というか、改造に失敗してゴミになる可能性もあるので最後の見納めかも・・・・って縁起でもないことはやめましょう。

結構沢山のOSコンをつかったものです。


2階建てなので、基板の間にゆとりがあります。

追加基板の配置の検討!
追加基板の配置はDAC基板のアナログ部寄りにするか、ディジタル寄りにするか2パターンがありますが、
どちらにも4本でネジ止めできるようにしています。アナログ部寄りすると、基板がやや片持ちになりますが、
強度的には問題ないでしょう。
今回はアナログ部寄りとしました。その理由は、電源の配線がし易かった点と、DACの制御線のコネクタが邪魔で
デジタル部寄りに出来なかったためです。ディジタル部寄りの配置にするには、コネクタはライトアングルでの接続が
必要になるでしょう。

追加基板をアナログ部寄りにした場合。


追加基板をディジタル部寄りにした場合。

不要な部品を取る!
必ずしも取り外す必要はないのですが、とくに銅箔コンデンサは背が高いので、取り外しておかないと
上の基板と干渉してしまいます。それと高価な部品なので、後でも使えますから、使わないので取り外しておきましょう。
 
銅箔コンデンサは背が高いので邪魔になります。


取り外した部品たち。いわゆる役物になります。

本当に4枚入るかな?
本当に4枚入るかどうか確認しておきます。12mmスペーサ(実際には10mmスペーサ+M3ナット)をつかって仮組してみましょう。
ギリギリですが収まりそうです。ちなみにタカチのOSシリーズのケースで70mm高さの場合で、内部の高さは62mmしかありません。
今回は基板間12mmとして、部品高さを最大10mm、そして最下部のスペーサ高さを5mmとすれば基板4枚分で
5mm(最下部スペーサ)+12mm×3+基板厚さ1.6mm×4+10mm=57.4mm
ですから、タカチのケース内高さ62mmに余裕(?)で入ります。


なんとか4枚はいりそうです。

 
4枚入れたときに上からパチリ。

配線を行いましょう!
IV出力はIV抵抗のパッドから引き出します。IV抵抗があると、OP部の回路と干渉するので予め取り外しておきます。
追加基板にIV信号を直接入力してもよかったのですが、おまじないもかねて20Ωの抵抗をシリーズにつなげてから
入力しました。IV+差動合成基板の入力部にはすこしですがユニバーサルスペースがあるので、助かりました。
1段目の配線が終わったら、一度通電してIVアンプの入力電圧がゼロになるようにVRを調整しておきます。
これによりPCM1704を理想的な状態で動作させることができます。

IV抵抗のパッドからIV出力信号を取り出し。


入力に20Ωの抵抗を挿入

 
配線完了!

完成です!
改造はこれですべて完了です。無事に追加基板が2枚収まりました。
アナログ部がフルディスクリートになりましたので、ちょっと嬉しい気もします。

完成した改造後のDAC1704-4Dの勇姿!詰め込めば入るものですね。

試聴!
アンプに接続して、まずはボリューム最大にしてヘッドホンでノイズチェック!問題ありません(ホット一安心)。
それではお気に入りのCDをかけてみましょう。勿論、木住野佳子さんのピアノナンバーです。
HPはこちら→Yoshiko Kishino Web Site

優しいピアノの響きが疲れた体を癒してくれます。いままで以上にピアノの響きが豊かな気がします。
まあ、こんな感想は新しい機器が完成したときのプラシーボが90%以上でしょう。というか、正確な音を判断するには
血中のアルコール濃度が上がりすぎています(笑)。
音の細かいところは気にせずに、折角の週末ですから音楽に浸りましょう。
ほろ酔い気分で、音楽とともに夢におちいる幸せな時の流れに乾杯です。

#補足
改造方法(結線)は下図のようになります。


IV変換基板のバグ修正 2007.6.17

IV変換回路のアンプは電源の立ち上がり時に上手く動作しないことがあることがDAC1794-3でわかりました。
最初に電源を入れるときは大丈夫ですが、一旦切って、すぐに入れると動作不良になりやすいというものです。
DAC1704-4Dでも、その症状が確認できたので、こちらも修正しておきましょう。
修正方法は、ここの検討記参照→DAC1794-3(後編その2)

DAC1704-4D再度ご開帳
こんなにすぐに再開帳するとは思ってもいませんでした。
なんせ、4枚重ねなので修正は大変です。配線を外すとあとが面倒なので、
最小限の配線の外しで基板を修正していきます。修正個所自体は少ないので、すぐですが
いかんせん、下の基板にアクセスするためにも、上から順番に基板を取り外していきます。

またまたDAC1704-4Dのご開帳!

配線を残したまま、基板をはずしていくのでこの通り。ああ、元に戻るだろうか・・・・・

だんだんバラバラに・・・・

無事、修正完了

 電源ON/OFFを頻繁におこなっても出力が正常なことが確認できました。
そんな操作は滅多にないけれど、直しておくにこしたことはありません。
これで、また安心して音に浸れます。

(おしまい)