ちょっとTea Time!? VCXO/OCXOを調べてみる 2021.7.22

10MHzの基準となる発振器が整備できたのですが、あらためて水晶発振器でも温度管理をちゃんと行えば
極めて安定した周波数精度が実現できるのだな〜と感心してしまいました。ちなみに、先の発振器は常に通電
していて、外から風があたらないように箱をかぶせています。その効果もあってか、たまに周波数を確認すると、
いつも誤差±1mHz程度に納まっているようです。周波数精度とすれば10-10なので大したものです。

で、温調付で電圧可変の発振器を自分で作ってみたくなりました。オーディオ用では24.576MHzをよく使いますが、
その基準をつくってやろうという算段です。温調付で安定した周波数をもつ発振器ならジッタもかなり低いはずです。
そうなれば、それを基準に動く装置も高精度に動くはずです。音もよくなるかな〜

ちなみに、世の中にはオーディオ用かどうかしりませんが基準発振器なるものも販売されています。
なにやら10MHz発振器を専門にあつかっているようです。
10MHzクロック専門 (株)サイバーシャフト公式サイト (cybershaft.jp)

必要な回路は
 温調付の電圧可変発振器に必要な回路要素は
 @温調機能
 A電圧可変発振器
の2つです。@の温調機能については、適当な高い温度(例えば50℃程度)に保持できればいいわけですから、
発熱体と温度測定素子とOPアンプが1つあれば十分で、なんとでもなるでしょう。あまり経験がないのはAの電圧調整発振器です。
そこで、この電圧調整発振器を色々と調べてみました。

VCXO回路を調べる
 電圧で発振周波数が可変できる水晶発振器はVCXOと呼ばれているようです(Voltage Controlled Xtal Oscillator).
そこで、VCXOの回路をネットで探索です。ほんと、ネットって便利ですね。

1)基本的な回路
 基本的な水晶振動子をつかった発振器の回路図は下記になります。74HCU04をつかうのが簡単です。
そして、周波数を微調整するには下図のC1、C2を調整することになります。
メモリーバッファーでもこの部分をトリマーコンデンサーにして可変できるようにしました。
要は電圧で容量が可変てきる素子をつかうえばいいということですね。



74HCU04をつかったいつもの水晶発振回路はこんな感じです.

2)バリキャップを使用
電圧で容量が変わる素子といえば、バリキャップ(可変容量ダイオード)です。でも、このバリキャップって
使ったことがないのですよね〜。どうやって使えばいいのだろう?で、VCXOの回路をさらに色々ろ調べると
バリキャップと74U04をつかった回路もでてきました.メーカのサイトにも載っていました。
また、セイコーの特許公開公報にもありました。
 なるほど、こうやって使えばいいのですね。勉強になります。

引用:http://www.kds.info/wp-content/uploads/2017/01/quartz-device-2016-2017-170125-jp.pdf



こちらはセイコーの特許の図です.先の回路とよくにています.直流カットのコンデンサの位置が異なっています.
電圧制御水晶発振器(特開2002?26660)

バリキャップを使ってみよう!

人生初のバリキャップの使用です(大袈裟だなあ〜。
バリキャップって高いものか安いものか全然しりませんが、われらが秋月でも取り扱いがありました。
5個で100円なので、素子としては比較的高いものなのですね。
というか、あまり使用頻度の高い素子ではないから、高くなっているのかな?

とりあえず、適当なものとして下記を購入してみました。

秋月電子でこれを購入です.
端子間電圧が2.27〜15pFで変わるバリキャップです.

早速動かしてみましょう!

セイコーの特許の回路図をもとに、適当な定数をつかって動作させてみました。

こんな感じでバリキャップをつかったVCXOを作ってみました。

手元に24.576MHzの水晶振動子は2つあって、HC-49/Uの大きいサイズと、基板の配布時につかっているHC-49/Sの小さいいものの2種類
があるので、それらでテストしてみました。また使ったバリキャップは2.27-15pFの変化幅なので、ちょっと容量が少ないかもと思って
1個と2個パラの2通りでのテストです。

 結果は下表の通りです。

回路図
HC-49/Uの形状

HC-49/Sの形状

バリキャップはシングルで使用
24 584 686Hz(V=0V)

24 585 983Hz(V=5V)

変化幅52ppm

24.576MHzよりだいぶ
高い周波数です。なぜ?
24 576 392Hz(V=0V)

24 577 375Hz(V=5V)

変化幅40ppm

24.576MHzよりわずかに高い
周波数でした。惜しい・・

バリキャップはパラで使用
24 582 790Hz(V=0V)

24 584 500Hz(V=5V)

変化幅70ppm

24.576MHzよりだいぶ
高い周波数です。なぜ?
24 574 700Hz(V=0V)

24 575 880Hz(V=5V)

変化幅 48ppm

24.576MHzよりわずかに低い
周波数でした。惜しい・・

とりあえず制御電圧VをGND〜5Vで変化させたときに、発振周波数が40〜70ppmの変化量となるVCXOとなることがわかりました。
バリキャップを2つパラにすると発振周波数はすこし低くなります。1個だと、すこし高くなります。1個でも2個でも
肝心の24..576000MHzを調整範囲とする条件にはなりませんでしたが、バイアス抵抗(1MHz)を変更すれば、また調整範囲も
変わってくるでしょう。

まずはVCXOとしての動作ができることが確認できたのが、今回の成果です。

温調機能はどうする?

簡単に温調を実現しようとしたら、発熱素子だけもたせた、例えば60℃程度で熱平衡するようなものをつくればいいでしょう。
放熱に関しては自然にまかせます。そうすれば、単なるON/OFF制御程度の温調機能でも大丈夫でしょう。
で、ここで問題となるのが使える水晶です。一般的に温調付の発振器にはSCカットの水晶が使われるようです。
SCカットの水晶は94℃あたりに温度特性の変曲点があります。すなわち、94℃あたりがもっとも温度に対する周波数変動
がすくないところです。しかし、90℃といったらかなり高い温度だしな〜。発振回路を丸ごと温調するわけにはいきません。

水晶だけ90℃程度に温調して、他の部品はすこし離したところに置くかな?でもそうしたら、他の部品の熱影響で周波数が
変わってしまいそうです。それに気分的にあ90℃で動いている素子があるのも不安です。一般的な温調付きの水晶発振器の
構造ってどうなっているんだろう。

それにSCカットの水晶なんて、簡単に入手はできなさそうです。簡単に入手できるとしたらATカットの水晶です。
これなら、秋月で色々な周波数のものが1個30円程度で手にはいります。

でも、ATカットの水晶振動子っておよそ25℃あたりに変曲点があるようです。この温度は温調するには面倒です。
冬場は温めないといけないし、夏場は冷やさないといけません。90℃温調だったら、冬場も夏場も温めるだけです。
どうする?

ペルチェをつかう?

簡単に冷やしたり、温めたりすることを考えると、やはりペルチェ素子の登場かな〜。
小さいペルチェなら秋月でも比較的安価に入手できます。

20mm四方程度のペルチェ素子なら650円で購入できます。水晶の温調程度ならこのサイズで十分でしょう。

ペルチェ素子の駆動で冷却も加熱もどちらもするとなると、バイポーラ電源で駆動することになりますが、正負電源を用意するのも面倒です。
となると、MOSFETなどでHブリッジを組んで駆動するのが簡単でしょう。温度誤差に応じて、流す電流をPWM制御できればいい感じです。

初ペルチェ! 2021.7.25

はじめてペルチェ素子を買いました.
すこし大き目で40mm角のものです.ちょっと大きすぎたかな?

40mm角のペルチェ素子を買ってみました.

素子が来たので、ちゃんと冷えるのかのテストです.
放熱をちゃんとしないと壊れるとあったので.、全面に放熱テープを貼付して放熱板にとりつけです.
冷却面には測温のためにサーミスタをはっつけました.これも秋月で購入です.


豆粒みたいなサーミスタを取り付けて測温です.


まずは初ペルチェでの動作テストです.

最大電流は4A程度まで流せるようなのですが、無理して壊したくないので1A程度に絞ります.
そもそも冷蔵庫みたいない使い方は予定していないので.、最大1A程度でもどの程度冷えるかどうかが知りたい点です..
で.、通電してから1分経ってサーミスタの抵抗を測定すると16.5kΩ程度です.
この抵抗値から換算すると温度は12℃程度のようです.触るとひんやりしています.
1Aでここまで温度が下げられる能力があれば十分です.


さらに通電し続けると結露してしまいました.実験終了です.

失敗した〜

実験終了したので、ペルチェ素子をはがそうとしましたが、剥がれません.
全面両面テープを貼ったのが裏目にでました. 無理にはがそうとしたら割れそうです.
あ〜失敗したなあ〜.
仕方ないので、このサイズで恒温槽をつくるかな〜.
それとも、もう1個のペルチェをつかうかなあ〜.

恒温槽の材料を探しましょう! 2021.7.29

放熱板にとりつけたペルチェが勿体ないので、それをつかった恒温槽をつくることにしました。
恒温槽に使う材料ですが、発振器全体が入るだけの容量があって、なおかつ熱伝導性のよいものを
探します。100均で探そうかとおもいましたが、おそらくブリキ製の缶程度しかないだろうな〜と思って、
すこし高いですがエフェクターケースというものをつかうことにしました。
 これはアルミ鋳造品なので比較的熱伝導もよいのと、サイズ的にも十分です。ちょっと大きすぎる面はありますが・・・。

恒温槽の材料としてエフェクターケースを使ってみることにしました。アルミ鋳造品です。


内容積は発振回路を組み込むには十分です。ちょっと大きすぎですが。

ケースの底面側(になるのかな?)にペルチェ素子を貼り付けますが、その前に全面を
断熱材で覆います。断熱材につかったのはスーパーの食品トレイです。これなら、冷蔵庫を
あされば色々とでてきます。平面の部分が少ないので、3皿ほどつかって切り出しました。

ペルチェ素子が張り付く部分を除いて全面を断熱します。両面テープで貼り付けです。


放熱板と恒温槽の間にペルチェ素子を挟み込んでいます。

温度制御範囲を調べてみましょう!

当初の予定より、かなり恒温槽が大きくなってしまったので、どこまで冷やせられるか、あるいは温められるかが心配です。
そこで、槽内にサーミスタを配置してペルチェ素子に通電した場合の温度を計測してみました。


冷却・加熱特性を調べるためにサーミスタを配置して測温してみることにしました。

結果は

 ペルチェに流す電流は0.5Aとしました。定格(4A)よりはだいぶ小さい値ですが、この程度で平衡状態になるくらいが必要です。
測定としては、最初に順電流0.5Aを流して冷却し、平衡状態にほぼ達したころを見計らって逆電流(加熱)0.5Aを流します。

結果としては0.5A流した場合の平衡温度は冷却時は環境温度-12℃、加熱時は環境温度+10℃といったところです。
値としてはちょっと小さい感じです。というのも環境温度が10℃とすれば、0.5Aを流しただけでは目標温度の25℃に達することができません。
同様に、環境温度が40℃あれば、28℃までしかさがりません。
 あと平衡状態になるにはかなり時間がかかってしまいます。通電後5分程度で目標温度に到達させたいものです。
そこで測定した結果から5分後の温度差を調べると、加熱・冷却とも6℃@300sという結果でした。
この値が、今回の実験で欲しかった値です。


 通電電流0.5Aの場合の槽内の温度変化

環境温度10〜40℃でつかうためには、印加電流は1.25A以上必要

使用する環境温度(室温に近い)を10〜40℃で使うと考えて、恒温槽内の温度を25℃にするには環境温度から15℃の温度差になります。
15℃の温度差を5分で到達させるためのペルチェ素子電流を概算すると、0.5Aで6℃ですから、およそ1.25Aという値になります。
結構な電流になるな〜。
 余裕をもたせて最大で1.5A〜2A程度流せるように設計したほうがよさそうです。となると、電源としては7〜8V程度は必要になります。
ん〜、できれば5V以下で動かしたいところです。でも5Vだと1A程度しか流れないから、すこしパワー不足。
5分で一定温度という制約をすこし緩和して20分程度でもよければ、電源電圧5Vも大丈夫そうですが・・・・ちょっと悩みどころです。
電源はもうちょっとあとで煮詰めましょう。

試しにペルチェ素子に1Aの電流を流すと・・・ 2021.7.31

試しに、今度はペルチェ素子に1A流してみました。
その結果としては意外だった反面、考えればそうだような〜という感じです。
まず、冷却速度ですが5分後の温度は初期温度から-7.5℃にしかなっていません。0.5Aのときに-6℃だったので、1Aならその倍くらい冷えるかと思っていました。
放熱板の温度がかなり高くなっていることもあり、冷却能力が落ちているようです。それに1000秒後の温度も20℃にも達していません。
そこで、放熱板をファンで冷却することに。そうすると徐々に温度がさがりました。でも、平衡状態の温度は約18.5℃で、ペルチェ素子0.5Aの場合と
ほとんどかわりません。いや、むしろ悪いくらいです。

 すなわち、ペルチェ素子に沢山の電流を流しても放熱が追いつかなくてあまり冷えないという感じです。

1Aの電流を流した場合の冷却特性.0.5Aのときとあまり変わりばえしません。

(つづく?)