ちょっとTea Time!? R-2Rのチップがある!? 2022.1.11

秋月電子のHPをみたら新しく取り扱いを開始したICとしてR-2RのDAコンバータがありました.


16Bit分解能のR-2R型のDACのようです.なによりも1個100円と安いです.


いまさら16Bitという意見も多そうですが、なんといってもR-2R型というのは珍しいです.
普通ならΔΣにすると思うのですが,. でも、なんといってもR-2Rの利点としてはスタティックな動作になるので
ΔΣのような変調周波数が漏れることはありません.

ちょっと興味があるので、もうちょとみてみましょう

仕様はいいな〜

仕様としてはステレオDACということで2chあります.Dレンジが89dBですから
16BitDACならこの程度でしょう. 動作周波数も384kHzと十分です.
入力フォーマットがMSB first,LSB揃えなのでいわゆる 右詰めフォーマットということでね.
いまどきI2Sでないのも珍しいですが、データシートが2012年となっているので、
まあこのときは右詰めのほうが主流だったかもしれません.

仕様はなかなかよさそうです.

あやしい?

最近のDACはΔΣになって24Bitはあたりまえ、さらには32Bitが現在ではほぼ主流でしょう.
でも、DACの本来の性能というのはビット数ではなく、単調増加性ならびに直線性(積分非直線性)です.
ただ、高性能なDACについてはこれらの数字はまず公開されていません.そもそも測定なんかしてないんじゃないかな〜.
そのため、24Bitや32BitDACでも、実際の直線性なんかは16Bit程度なんじゃないかな〜と思ってしまいます.

で、このICのデータシートを眺めていて気になる一行を発見です.

単調増加性は16Bit!
.
ほんとかいな?16BitのDACで単調増加性が16Bitあるの?
DACのデータシートをみていても、分解能はもちろん記載はありますが単調増加性を記載しているのは
8bit程度のDACだけのような感じです.16Bitともなると直線性誤差もLSBで数ビットでるのが当たり前なので、
それでいて単調増加性が16Bitだと? ひょっとして分解能と勘違いしているのではと思ってしまいます. 


Monotonicityが16Bitとは!! 本当かな?

まあ最大値が16Bitだから、実際には10bitでも12Bitでも嘘ではありませんが・・・・
こりゃ一度評価してみなくてはなるまい!←変な使命感です(笑

とりあえず、2〜3個買ってみましょう!


ブツ入手! 2022.1.18

秋月に別のものを注文するついでにこのDACも購入してみました。
いや、反対です。このDACを買うために、他のものも無理やり買いました(笑。
だって、送料の割合を下げないと勿体ない!!
 でも、この行為が部品箱が膨張する原因なんですよね〜。


3個ばかり購入。でも2個は肥やしになるんだろうな〜。

早速動かしてみましょう!

変換基板にのせてブレッドボード上で動かしてみましょう。
使用するDAIについては、SRC(Sample Rate Convertor)機能がついていると
ややこしので単純なDAIとします。たまたま目についたDIR9001をつかいました。
もちろん右詰め16Bitのフォーマットが出るものであればなんでもOKです。


変換基板に実装です。


DIR9001をつかったDAIを接続です。あ、16Bit右詰めに設定を変更しないといけませんね。

波形は意外と綺麗、でもやはり不連続はありますね

以下に波形を観測してみました。
単純にレベルを小さくするだけでは、MSBビットの変わり目での不連続はわかりませんが、
オフセットをかけると予想通り不連続が顕在化してきます。ただ、常用の高速オシロ(470MHz)では
すこし観測が難しいです。

設定値 観測波形 コメント
200Hz
0dB
オフセット0%
正弦波
電源電圧5Vで振幅は
2.5Vpp程度です。
綺麗な波形です。

分解能は約0.04mVといった
ところです。
200Hz
-20dB
オフセット0%
正弦波
-20dBでも大丈夫ですね。
200Hz
-40dB
オフセット0%
正弦波
-40dBでも大丈夫ですね。
測定ノイズが大きいですが、
問題ない波形です。
200Hz
-50dB
オフセット0%
正弦波
-50dBでも大丈夫ですね。
これ以下は測定ノイズが
大きいので計れそうにありません。
フィルターを入れるか測定器を
変更しないとだめでしょう。
200Hz
-40dB
オフセット50%
三角波
オフセット50%に設定すると
ゼロクロスのとこでの不連続が
見えます。オシロの写真では
すこしわかりにくいな〜。
(生でみているとよくわかるのですが)

オシロを変更して再度観察

オシロを20MHzのものに変更して再度観察です。こちらのオシロは最小2mV/divで観察できますので
より細かい測定ができます。
 で、こちらのオシロでみると波形の不連続がよくわかります。
概測定で約1mVの段差がでています。


クロスの部分での段差が1mVありますね。


実質的な単調増加性は11〜12Bit以下

最大振幅2500mVで1mV幅での単調増加性ですから、実質は11〜12Bit以下といったところでしょう。
精度にすると0.04%程度になるでしょうか。ちょうど0.1%級の抵抗をつかえば実現できる精度です。
というのも0.1%精度保証する抵抗となると、ほとんどその1/3程度の誤差に入っていますからね。
1%級の抵抗を4桁以上のテスターで選別してもこれなら実現できるでしょう。

11〜12Bitと聞くと分解能が低そうに見えますが、この単調増加性があれば
ビット境界での不連続による音の変化なんて、まずわからないでしょうけれどね。

そういう意味ではオーディオDACとしても十分に使えるでしょう。

帯に短し襷(たすき)に長し?

さて、このDAC-ICだけど何につかえるだろう?12bitのDACが100円なら安いともいえるけど、
普通の計測用のDACが12Bitなら普通に200〜300円で買えちゃうしな〜。
それに、このDACはスタティックな動作ができるのかも試してみないとわからないし・・・。
オーディオ用だと、この単調増加性の低さを知ってしまうと使いづらいなあ〜。対策として16個くらい
パラにつかってやれば、うまくすれば誤差1/4になってビット精度は2ビット程度増えるかもしれません。
でも16個もつかうのも野暮ったい。
 んん〜帯に短し襷に長しってな感じだなあ〜。

ところで
 このDACのデータシートを眺めていて、こんなことが書いてあるのに気づきました。


DACの入力フォーマットは現在ではI2Sが主流ですが、初期は右詰めでした。右詰めの良いところは、
単純にシフトレジスタでデータを押し込んで、最後のLRクロックでラッチすればいいだけの単純な回路で
よいところですが。ただ最大の問題はビット長が既知でないといけないところです。初期では16Bitでしたが、
18ビットになり、次に20ビットになり、最近は24Bitさらには32Bitになってきています。
さらにビット長自体が可変にもなる場合もあるので、こうなってくると右詰めでは対応できません。
その点、I2Sはビット長が変わっても関係ありません(左詰め、すなわちMSBが揃っているので)。
右詰めからI2Sに変わったのは時代の流れでもあったわけですが、面白いのはI2Sはフィリップスフォーマット
ともいわれていることです。それに対して右詰めがJAPANESE FORMAT、すなわちソニーフォマットだったという
わけなのでしょうか。DACの入力フォーマットをソニーにするのかフィリップスにするのか、結構争いが
あったのではないかと邪推・・・その結果、まずはSONYが勝利した!といったことがあったのかもしれませんね。


折角なので 2022.1.20

三個も買ったDACですが、このまま放置したら肥やしになりそうなので、
3パラでのDACを組んでみることにしました。
 回路としてはDACの出力インピーダンスが不明なのですが、1kΩの抵抗で合成したのち
10uFのバイポーラコンデンサでDCカットして出力するという、極めて簡単な回路にしました。
電源はI2Sのコネクタより5Vを供給です。


3つのDACを変換基板に実装です。


小さい基板ですが、3パラDACを組み込みました、こちらは部品面です。


半田面はこちら。

動かしてみましょう!


DAIに接続して動作チェックです。コネクタからの電源供給なので電源配線は不要にしました。
こうすれば、色々なDAIにダイレクトに接続してDACとして機能させることができます。


DAIの出力コネクタに差し込んで動作チェックです。


LR出力も確認できました。

さて、出力は確認できましたが実際の音出しはまた日を改めましょう。

(つづく)