ちょっとTea Time!? 超音波(?)洗浄機を買ってみた! 2024.11.23
AMAZONのサイトでこんなモノが目につきました。超音波洗浄機です。
眼鏡や時計など、日頃身に付けるものって結構汚れが細かいところに入り込むので、
これがあると便利そうです。
粗悪なものだと、単なる振動モータで水を揺らしているだけのものがあったりしますが、
評価をみているとかなり高いです。すくなくとも汚れを落とすという機能は間違いなさそうです。
タイムセールということもあるので、買ってみることにしました。
あると便利だなあ~ということで、思わずポチってしまいました。
異常に評価が高いです。機能的には大丈夫ということかな?
でも評価が高すぎるのも気になるなあ~。ヤラせだったり。
到着
AMAZONは在庫のあるもは翌日に配送されてきます。最近はほぼ置配なので、
きづいたら玄関脇においてあるという感じです。
注文して翌日に届きました。
軽い!
最初商品を手にしたところ、思わず「軽い!」と心の中で叫んでしまいました。
大丈夫かいな?ひょっとして振動モータが入っているだけでは?と心配になりました。
とりあえず動かしてみるかな。
なんかとても軽いです。なにも入っていないかのような重さです。
それなりに使えるなあ~、でも。
まずは水槽に水をいれて電源ONです。
なんか低い音でうなります。会社でつかっていたような超音波洗浄機とはまったく違う音です。
会社の洗浄機はジーという感じの音ですが、こいつはどちらかといえばブーという感じの音です。
大丈夫かいな?と思いつつ、試しに眼鏡を入れてみますが、いれた途端に、レンズとフレームの隙間
から汚れがジワーと染み出してきます。次に時計の金属ベルトを入れてみましたが、同様です。
5分タイマーがついているので、その間は漬けておきましたが、終わると綺麗になっていました。
まあ、機能的には問題ないようです。
でも、なんか音が低いのは気になるなあ~。まさか振動モータじゃああるまいな?
とりあえずばらしてみましょう!
とりあえずどういった方法で振動させているかの確認のためバラシてみます。
もし、振動モータだったら速攻で返品してやろうかと思っていますので。というのも
モータの回転で商品説明の50kHzの振動がでるとは思えませんからね。
で、底蓋をあけてみました。すると、水がポタポタ。
結構内部に水が入り込んでいるようです。ステンレスの水槽と樹脂の隙間から水が入り込むのでしょう。
シリコンなどで、コーキングしておいたほうが良さそうです。
さて、中身をあけると1枚の電子回路基板と、水槽の底面に貼付された振動子が見えてきました。
すくなくとも振動モータではないようです。とりあえず返品せずに済みそうです。
中身を開封(?)ばらしたところです。タオルが見えるのは、結構中に水が入っていたので
ふき取るのにつかいました。
一度しかつかっていませんが、内部に結構な水が入り込んでいました。防水性はよくないようです。
振動子は圧電セラミックの様子
振動子はどうやら圧電セラミックの様子です。ひょっとして、超扁平のボイスコイルかと思いましたが、
電気抵抗をみると絶縁状態になっているので、圧電セラミックでしょう。反対に、これがボイスコイルなら
感動してしまうところです。
振動子の抵抗がほぼ無限大ですから圧電セラミックのようです。
電子回路はどうなっている?
圧電セラミックを駆動するとなると高電圧が必要です。
そこで電子回路の基板をすこし眺めてみました。
インダクタあるいはトランスがあり、これらで昇圧しているようです。
こちらは部品面。右上はインダクタ、下はトランスかな。
制御回路は基板の裏面にとりつけてあります。MOSFETをマイコンでスイッチングさせて動作させているようです。
MOSFETはプッシュプルで動いているのかな?すくなくともパラ動作ではないようです。
こちらは半田面です。MOSFETが2個見えます。パラ接続ではなく、プッシュプルで動作させているようです。
SO8のパッケージはマイコンで、スイッチやLED、MOSFETを駆動しているようです。その右隣は電圧レギュレータでしょう。
駆動周波数はどうだろう?
最初は圧電セラミックに直接オシロのプローブを当ててみましたが、波形が画面から振り切るので
まともに観察できません。それに、オシロの耐電圧が±400Vであるので、ちょっと怖くなって直ぐに
プローブを外してしまいました。
そこで、MOSFETのゲートにプローブを当てて周波数を観測です。
MOSFETのゲートにプローブを当てて観測です。
周波数は40kHz
パルス周期が25usですから、周波数としては40kHzです。商品説明では50kHz
となっているので、かなり違うなあ~。でも、超音波洗浄機としてこれでもいいのでしょう。
駆動は40kHzですが、オシロでの見かけの周波数は14kHzあたりを示しています。
おそらく断続的な動作をさせているのかもしれません。
もうすこし、長い時間レンジで観測してみましょう。
パルス周期は25usなので周波数としては40kHzです。
パルスを再度観測
ついでなので、2つのMOSFETのゲートを同時に観察です。
互いの位相が180度ずれいますから、やはりプッシュプル動作でしょう。
2つのMOSFETのゲート電圧です。
さて、すこし長い時間間隔で測定です。
その結果、圧電素子を駆動している時間は約7msで、そのあと約10msの
休止期間があります。そのため駆動時間周期は17msですから、周波数にして
約60Hzですから、ブーという音が聞こえてきたのでしょう。
すこし長い時間スパンで観測です。駆動7ms、休止10msで動いています。
しかし、なぜ40kHzの連続したバースト波ではだめなのだろう?
途中に休止期間を設けているのはどうっいった理由なのだろう?
と色々と疑問が沸いてきます。
ネットで調べましたが、途中で10ms等の休止期間をもうけるようなものは
他のメーカではみつかりません。ひょっとして、使用部品の定格上で
連続使用は無理なのかな?また電源出力容量の関係から駆動DUTYを
下げないとダメなのかな?
まあ、おいおい調べて行きましょう。
まとめ
安価な超音波洗浄機を買ってみました。
・振動モータをつかった詐欺商品ではなく、圧電セラミックをつかったものでした。
・発振周波数は一般的な40kHzのものでした。
・そのため、普通に汚れ落としに使えます。
しかし、超音波の定在波をずらすために周波数をずらしたり、タイマーを
工夫してもっと長時間つかえるようにしたりと、改造ネタにもなりそうです。
まあ、その前に防水性を上げる処置をしなければいけません。
でないと、内部に水がたまって感電するかもしれませんからね。
(おしまい)
極めて短い命でした
洗浄パワーが上がらないかな~と思って電源電圧を上げてみることに。
この洗浄機は12VのACアダプタで動くものですが、実験用電源に繋ぎ変えて
電圧を上げて試してみました。まあ、24Vくらいならなんとかなるかな~という
甘い考えです。
16V程度まで上げたら、かなり元気よく動くようになりました。
そして、20V程度まで上げたとき、
「パン」
という大きな音がして動作が停止です。
ひょっとして、あまりの出力で圧電セラミックが水槽から剥がれたのかな?と思いました。
急いで、中を覗いてみたところ、
1つ部品が爆発していました。全然原型をとどめていません。
部品が爆発して、もはや原型をとどめていません。なんの部品だろう?
どんな部品か調べるために、先にとった写真に部品が写っていないか調べました。
拡大して調べたところ220uF/16Vの電解コンデンサだったようです。
しかし、写真でみるとわかりますが防爆弁がないのですね。
こんなコンデンサって許されるのだろうか?
写真から破裂した部品は220uF/16Vの電解コンデンサです。
爆発した部品(矢印下)と残骸(右側)です。
直るかな?
とりあえず、爆発した部品を220uF/25Vのものに交換です。ついでに生き残ったコンデンサも耐圧の高いものに交換です。
しかし、4V程度の耐圧オーバだけであそこまで派手に爆発するかなあ~。リップル電流に耐えられなかったのかな?
もっと違う原因かな?
コンデンサを入れ替えました。動くかな?
だめだあ~
コンデンサを入れ替えましたが、全然動きません。というか、電源を入れると電源LEDが点灯するはずなのですが、
それすら点灯しません。LEDはマイコンで制御されているので、マイコン自体が動いていないようです。
マイコンに加わる電圧は5Vで、レギュレータ自体は問題なく動いているようです。電源電圧が正常で
マイコンが動かなくなるとすれば、マイコンのIOピンになんらかの高電圧がかかった可能性があります。
ひょっとして、MOSFETがぶっ飛んで、20Vの電圧がマイコンに作用したのだろうか?
MOSFETまで飛んだ?
とりあえずMOSFETのG-S間の抵抗を測定です。正常ならG-S間は絶縁状態です。
測定してみると、2個とも10kΩ程度です。この値ってゲートに繋がっている抵抗と同じだから、
大丈夫かなな?すくなくともMOSFETは短絡はしていません。
ちなみに使っているMOSFETはAP50N06というもので、60V50Aの品種です。
これがぶっ飛んだとなると、かなりの電流が流れたということだし、そこまでは逝ってないかな?
MOSFETは大丈夫と信じましょう。
ちなみに、基板から回路を起こしておきました。
超音波洗浄機の回路図です。
+
マイコンはPINの並びからみてPICの8ピンタイプのものでしょう。
直すぞ!
そういえば、かなり昔ですが秋月の福袋にSO8パッケージのPICが入っていたことを思い出しました。
こんなもの使うことないな~とは思いつつ、保管しておきました。
どうやら使っているマイコンがPICっぽいので、これが使えそうです。
昔の秋月の福袋に入っていたものです。
保管しておいて良かったあ~。
まだPIC12F675が110円の時のものです。今は220円です。
プログラムを書こう!
オリジナルの操作まで模擬したソフトは大変なので、簡単に電源を入れたら5分ほど
発振して、その後は停止するような内容で組みました。
とりあえず、変換基板に取りつけてプログラム開発ができるようにします。
発振周波数はオリジナルと同じ40kHzにしました。
マイコンの付け直し
プログラムも書けたので、マイコンの交換です。
壊れたマイコンを取り外します。
あたらしいマイコンに交換です。
動いた!
どきどきのでんげん投入です。
「ブー」
動き出しました!めでたし、めでたし。
ようやく動き出しました。
コンデンサの耐圧も上げたことだから再度パワーアップテストをしたいところだけど、
それはまたの機会にしましょう。今、また壊れたら心折れそうです(笑.
(こんどこそ、おしまい)
パワーアップ大作戦!2024.11.26
さて、前回の故障&修理に陥った心の傷も癒えてきたので再度パワーアップ検討開始です。
焦げ臭い?
コンデンサも交換したので、動作電圧を徐々に上げていったのですが、なぜか動作が不安定です。
発振したりしなかったり。すると、なにやら焦げ臭いです。
急いで電源を切って中をみてみると、制御基板のパターンの細くなったところが焦げています。
ここは電源ラインからトランスへの配線部分で一番電流が流れるところです。
また再度通電すると、MOSFETもかなり加熱することもわかりました。
パターンの細くなったところが焦げています。
もともとの状態です。
やっぱり、オリジナルの商品というものはギリギリの設計をしているのかもです。
色々と調べてみると
どうしたら超音波洗浄機がパワーアップできるかな~と思って調べていると、
出力の大きい超音波振動子や駆動基板などが案外手頃な値段で売られていることがわかりました。
基板をみてみると、駆動トランジスタは放熱板に取りつけてあります。
やっぱり、出力が低いからといって、単に基板に貼り付けたSMDでは放熱が追いつかないのでしょう。
案外手頃な値段で売られています。制御基板のトランジスタはちゃんと放熱板がついています。
さらに調べていると、今回購入した圧電素子らしきものもでてきました。
どうやら1枚400~500円のもののようです。重要なことがわかったのは出力が35Wであるということです。
今つかっている圧電素子は35W程度のもののようです。
ちゃんとしたドライバー基板を作ろう
といっても、トランスなどは既存のものを使うので、MOSFETをより低抵抗のものに
変更して、放熱板をとりつけてやるだけのことです。
PICは前回のPIC12F879からPIC18F27Q43に変更です。動作クロックが4MHzから64MHzに
高速化されるので、タイミング回路の微調整がやりやすいです。ただ、かなりのオーバスペック
だなあ~。
元の基板から部品類を取り外しました。
駆動回路の更新です。MOSFETを変更したのと、インダクタとコンデンサの容量UPです。
MOSFETはこれを使いました。80V100Aで2.6mΩの低ON抵抗品です。
PICに40kHzの駆動ソフトを組み入れます。
動かしてみましょう!
さっそく圧電セラミックに接続して動作させます。最初なのでオリジナルの12Vの電圧から
始めます。動かしてみて、電流を見てみると1.5Aです。付属のACアダプタが12V2Aであった
ことから、かなりの負荷率で動作させているようです。12V動作時で約18Wの消費電力です。
動作させてみましょう。結構な電流が流れるようです。
12V電源で1.5A程度の電流が流れます。
なんとなく合点
買った超音波洗浄機ですが、40kHzの振動するのはいいのですが、7ms駆動したのち、
10msの休止期間があります。すなわち稼働率は41%です。
この10msの休止区間が腑に落ちなかったのですが、おそらく要因は2点あるような気がしました。
1つ目は休止区間が無ければ、すなわち稼働率が100%になると消費電流が3.75Aまで増加するので
ACアダプタの容量(12V2A)を越えてしまいます。
2つ目は、1つ目の裏返しではあるのですが、水中にキャビテーションを発生させるためには
一定以上の出力が必要です。しかし、その出力で維持すると圧電セラミックの容量を越えるので、
わざと稼働率を下げざるを得なかった。ピーク出力では越えるけどRMSは定格以内で抑える目的です。
といったところだと推察できそうです。
アルミ箔で試してみましょう!
出力のある超音波洗浄機ではアルミ箔(アルミホイルのかけら)を入れると、ボロボロになることが
知られています。
まず12Vの電源電圧で試してみましたが、アルミ箔の表面に小さい凹凸ができる程度でした。
まあ、キャビテーションが発生していることは問題ないでしょう。そして、つぎに16Vまで電圧を上げると、
みるみるアルミ箔に凹凸が増えていき、そして周囲が削りとられていくのがわかります。
やはりこの製品の場合だと16Vくらいまで電圧をあげたほうがよい結果を得られそうです。
ただ、オリジナルのままだと爆発の可能性がありますのでくれぐれもやらないように!
というか、普通はやらないですね(汗。
12Vの電源電圧で動作させると、アルミ箔表面に小さい凹凸ができる程度でした。
BEFORE
AFTER(元電圧16V)
消費電力を調べておきましょう!
ついでに、電圧を上げた場合の消費電流と消費電力の関係を調べておきました。
消費電力のほとんどは圧電セラミックでしょうから、最大(35W)でどこまで電圧が上げられるかの調査です。
その結果は最大電圧17Vくらいにありそうなことがわかりました。このときの電流は約2Aです.
まあ、安全をみて16Vを最大電圧にした方がよさそうです。
ただ、16Vの電源ってあまりないので、PC用のACアダプタ(19V)が使えるように、すこし稼働率を下げたような
プログラムにしてもいいかもしれません。
電源電圧と消費電流の関係です。圧電素子の容量が35Wであることを考えると、最大電圧は17Vといったところです。
折角なのでプログラム改造
現状は電源を入れると、永続的に発振するだけのプログラムになっているので、
すこし実用性も考慮してタイマー機能も入れることにしましょう。そのために、すこしLEDも追加です。
スイッチを押すたびに5,10,15,20分で稼働時間を設定できるようにしました。
LEDを追加です。電源LEDとタイマーLEDです。
あとは、いつでも使えるようになんらかのケースに入れる必要がありますが.
これはまたの機会にしましょう.
(今度こそおしまい?)