(その4はこちら

DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き(その5)  2025.4.3

PCM5142の内蔵DACを使おう!

RenewDIV5142では基本的には外付けDACをつかうことを前提として、内部のMiniDSPしかつかってきませんでしたが、
より簡易にシステムを組もうとしたきにPCM5142の内部DACをつかうのが、基板の枚数も少なくなってスペース的には
かなり有効です。
 PCM5142の内部DACもかなり優秀で分解能32BitでS/Nも112dBあります。なにより便利なのが、
単電源動作でありがながら、内部にチャージポンプで負電圧を生成させていますから、
アナログ出力もコンデンサ結合なしで直接取り出すことができます。

Renew DIV5142でもDACのアナログ出力が得られるようになっているので、これらろ使ってみようと思います。


Renew DIV5142にはアナログ出力端子もでています。

構成は2WAY/1基板で

構成としては、Renew DIV5142が1枚で2WAY分をサポートできるようにします。2枚あれば4WAYです。
こうしておけば、小生のサブシステムの3WAY+SUBWOOFERのマルチシステムでも、CONTROLLER UNITと
あわせて3枚で足ります。イコライザ基板を含めても4枚で済みます。
 さらに電源は5V単一で十分ですから、ACアダプタがつかえます。そのため、極めてお気楽なシステムができそうです。


Renew DIV5142の構成案です。基板1枚で2WAY分をカバーです。基板2枚で4WAYまで対応させます。

過去のおさらい

最初のDIV5142ではDAC出力もありましたから、すこし思い出しながらDACステージのブロックを考えます。
本来はDACだけでもいいのですが、折角なのでディジタル出力もだせるようにして、そこにはボリュームコントロール
もできるようにしておきましょう。そうすれば、ひょっとしてR-2R DACなんかも接続できるかもしれません。

ということで、DACのステージのブロック図を作成です。DAC専用でつかうので、8倍オーバサンプリングでも
サイクル数は252と256未満になりますから、192kHzまで対応可能です。

DAC部分の構成です。


サイクル数が252(<256)なので192kHzまで対応可能です。

まずはハードを準備しましょう 2025.4.9

ソフト作成にはハードが必用ですが、現在のRenewDIV5142はケースに組み込んでしまったので、
テストも出来ません。ということで、新しくハードを準備しましょう。
最終的なハード構成は下記のように基板の5段重ねにしようかと思っています。


今回の基板構成です。

構成が決まったので、夜な夜な基板を製作です。


まずは主要な部品の実装が終わりました。左からイコライザ基板、DSP1,DSP2です。DSP1,DSP2はアナログ出力しか
使わないので、バッファー(74245)も1個しか搭載していません。



アナログ出力はコネクタがチップコンデンサと重なるので、隣のパターンに
2個の部品を重ねて実装しています。



横に並べるか、重ねるかを実装のやり易さを比較しましたが、重ねる方が簡単でした。
並べるのは、2個並べてピンセットで挟むのが面倒でした。


データの流れはすこし工夫

RenewDIV5142基板はすべて重ねるように配置できると、シンプルです。
そのためEQUALIZER基板の上の基板からのDATA線と、EQUALIZER基板から下の
DATA線を分けるために、EQUALIZER基板のCN2AとCN2B間のDATA(Pin1)を切断しておきます。
そして、EQUALIZER基板のCH2出力をCN2AのPin1に接続しておきました。




EQUALIZERからのデータラインの流れ


EQUALIZER基板のCN2AとCN2BのPIN1間(DATA)を切断。


EQUALIZER基板のCN4(Pin1)からCN2A(Pin1)を接続して、この基板より下にはEQUAZLIZER出力を伝送。


RenewDAI9211の電源接続もスマートに

RenewDAI9211への電源供給は、普通に電源端子から行おうかと思いましたが、
RenewDAI9211とRenewDIV5142のコネクタの位置が一部一致していることがわかりました。
そこで、その部分をつかって、基板間をコネクタで上下連結して、電源ラインもそれを利用することにしました。
もちろん、それを行うためには不要な線は切断しておく必用があります。


RenewDIV5142(左)とrenewDAI9211(右)のコネクタの一部のパッド位置が一致しています。


基板を重ねて透かしてみれば、一致している箇所がわかります。


RenewDAI9211きばんも完成です。

一応、ハードは完成

作成した基板類を全部連結して、一応これでハードは完成です。


これで必要なハードは揃いました。


基板間は11mmなので、10mmスペーサに1mmの樹脂スペーサを
入れています。

とりあえず、動作確認

まずは、既存のプログラムをインストールして動作確認です。
問題なく、DSPボード、EQUALIZERは認識しているなあ〜、
でも、DAI基板を認識していません。
あ、リセットのプルアップ抵抗の追加を忘れている〜。
ということで、追加です。
そうすれば、すべて基板を認識しました。


全ての基板を認識しているのを確認です。


ソフト作成開始! 2025.4.12

既存のソフトに手を入れるだけなので、大きな変更はありません。
ただ、手を入れないといけない箇所が多いので、色々なファイルの色々な箇所を弄るので
ちょっと時間がかかりました。
 あと、ちょっと変更したのはPCM5142の内部のディジタルフィルターも使えるようにした
こともあり、まずは外部へのディジタル出力は割愛です。アナログ出力のみです。
もともとアナログ出力をだすことが目的ですので、まあいいでしょう。それに、
追加でロジックICを実装しないといけないので、ちょっと面倒だったりします。

フィルターは内部DACであるPCM5142を認識した時点で、内容がかわります。

PCM5142を対象に、ディジタルフィルターの選択画面を変更です。

ちなみに、それぞれのフィルターのインパルス応答を見てみました。
これらは、正弦波で観測したら全然違いがわかりません。
なお、グラフの説明はPCM5142のデータシートのままです。
de-emphasisとありますが、これはOFFにしているので関係ありません。


8x/4x/2x FIR interpolation filter with de-emphasis


8x/4x/2x Low latency IIR interpolation filter with de-emphasis


High attenuation x8/x4/x2 interpolation filter with de-emphasis


8x Ringing-less low latency FIR interpolation filter without de-emphasis

出力にフィルターを入れたらどうなるかな?

現在はPCM5142からのダイレクトな出力になっていますが、
データシートには推奨となるLPFが記載してあります。470Ωの抵抗と2.2nF(2200pF)の
コンデンサでフィルタを形成しています。



どのくらい波形が変わるか試してみましょう。数値的にはfc=153kHz(-3dB/oct)に
なるようです。まあ、もうちょっと低い周波数でもいいかもしれません。


データシートで推奨のフィルターを入れてみました。


フィルター無し。離散的な出力であることがわかります。


フィルター有り。ほぼ連続的な出力に見えますが、
フィルターのカットオフ周波数はかなり高いです。

手元に2200pFのコンデンサがあまりないので、4700〜6800pFくらいでもいいでしょう。
あるいはLPFなんて、なくてもいいかもです。

アンプにつなげましょう! 
ついでにケースにも入れてしまいましょう! 2025.4.27

GWに入ったこともあるので、アンプに繋ぐだけでなくケースにも入れておきましょう。
TPA3118をつかったDクラスアンプがあるので、これを使うと小型のケースに収まるでしょう。

使うアンプはこれにしました.PA3118(Dクラスアンプ)です.


アンプをすこし改造

Dクラスアンプで重要なのがパスコンです。これがうまく機能しないと、音すら出ないことがあります。
とくに高周波特性が重要なので、電源ライン直近のセラコンは欠かせません。
現在では1uFと0.1uFをパラでとりつけていますが、さらに680pFのセラコンを追加で取りつけておきました。
1000pFがよかったのですが、ちょうど手持ちのチップCがありませんでした。
あと、スペース的に邪魔な電解コンデンサも入れ替えです。

680pFのセラコンを1uFのセラコンの上に重ねて配置です。


電解コンデンサも表面実装の電コンに入れ替えました。100uF/25V品です。


基板間隔に余裕がありそうなので、裏面にも取りつけておきました。


ケースはどうする?

GWなのでケースも作ろうかと思いましたが、ちょうど使えそうなアルミ板などがありません。
購入してもいいのですが、さらにモノが増えるのも考えもの(どちらかといえば減らしたい)なので
既存品を流用です。
 ちょうど、入りそうなアクリルのケースがありました。もともとはDACを取りつけていたものです。
まあ、ケースというよりバラック組み込み用の板みたいなものです。これを選んだ理由は、
パネルにスイッチもとりついているので、ケースの加工は最低限で済みそうだったこともあります。


これを使って、組み込みましょう!


LCDがとりついていますが、やっぱりQVGAに交換かな〜。

QVGAにしましょう! 2025.4.27

LCDを取りつけたネジに引っかける形でQVGAパネルが取りつくようなので、QVGAに変更です.
すこし、ガタつくのであとでホットボンドで固定しましょう!

QVGAパネルに変更です.さらにエンコーダも取り付けました.

組み上げていきましょう!


スピーカの端子はネジ止の端子をつかいました。


スピーカ端子の裏側です。別の用途で作った基板をつかって端子から配線できるようにしています。


全体が組みあがりました。


後ろからみたところです。

もう、遅くなってきたので動作確認は明日にしましょう。

動作確認! 2025.4.28

さて、動作を確認していきましょう!
ACアダプタで電源を供給です。問題なく立ち上がりました。
で、エンコーダを動かすといきなりQVGAパネルが真っ白に!
どうやらVRとエンコーダのコネクタを間違えて差し込んでしまっていました。
同じ3Pのコネクタなので、差し間違えです。
このこともあり、コネクタには油性ペンでマークをしておきました。
これで、差し間違えはないでしょう。

同じコネクタが何個もあるので、印を打っておきます。これで誤挿入したら分かるでしょう。

いよいよ音出し!

スピーカの線にY端子をとりつけて、本機に接続です。
合計16本あるので、結構面倒です。

スピーカに接続して試聴です。配線が多いので結構面倒。


こんな形で試聴のセットアンプです

色々と問題あるなあ〜

音そのものは、問題なくでるのですが、すこし問題有りです。

(問題その1)立ち上げ時に、一瞬だが大きな音量が突出する。

これは、ソフト製作時に半分分かっていたことですが、顕在化しているなあ〜という感じ。
PCM5142をDACとして使用するわけですが、デフォルトの設定は音量最大になっているので、
命令を書き込んだ直後にMUTEをかけてはいますが、その間に音が漏れてきています。
ごく短い時間なのですが、直近で立ち上げ時の状況が確認できるように、各ステップ毎に
0.1sの待ちを入れてしまったこともあり、顕在化です。無視できるレベルかなあ〜と思っていましたが、
修正しておいたほうが良さそうです。

(問題その2)スピーカから高調波ノイズがでています。
このPA3118のDクラスアンプで試聴したときは、アナログ入力はLPF付のDAC(DAC4493-I2C,DAC1795-I2C)
を接続していたので、問題にはならなかったのですが、どうやらPCM5142の出力にもLPFをいれた方が良さそうです。
Dクラスアンプって、内部でPWM信号に変換するのですが入力信号に高調波成分があると、PWM変調時に
不連続性がでてしまって、それが可聴音としても漏れてくるのかもしれません。

ただ、今回DAC自体はDCDC電源(5V)で動かしているので、その影響もあるかも。そうなると、対策は面倒だなあ〜。
たぶん大丈夫だと思うけど。

まずは、問題その2への対応として、下記のアプローチで進めてみましょう!
 1.Renew DIV5142基板類への給電をドロップ電源に変更
  これで、解決してしまうとハードウエアとしてはかなり面倒な改造になります。

 2. Dクラスアンプ入力を短絡してノイズの有無を確認
  これで、まずはDクラスアンプ単体での問題有無を確認です。しかし、これでノイズがあるようだと、
 これも面倒な改造になります。

 3. DAC出力にLPFを挿入.
  これも面倒ですが、まあ改造としてはこれが一番簡単です.

結果はすこしはずれ

まず、最初にRenew DIV5142基板類への給電をドロップ電源に変更した時点でノイズが相当低くなりました.
この結果からは、DACからのノイズかもしれないという疑惑が沸いてきます.
次に、給電を元に戻して(ノートPCのSW電源から供給)、Dクラスアンプ入力を短絡しました。ノイズが消えるかとおもいましたが、
同じレベルで残っています。となると、DACからのノイズではなく、Dクラスアンプ自体からノイズが発生しているということに
なります。これでは、先の結果と矛盾します。
 そこで、Renew DIV5142基板類への給電をドロップ電源に変更した状態で、Renew DIV5142に電源を供給している
DCDC電源(5V出力で入力はノートPCの電源19Vを使っている)に負荷電流を掛けてみたところ、
発生するノイズが増大することがわかりました。
すなわち、原因はDクラスアンプのすぐ横にある、DCDC(5V)がアンプに影響を与えることがわかりました。
これはすこし予想が外れたなあ〜。DCDCからの高周波数の漏れ磁束がアンプに飛びついているのでしょう。

ということで、対策としてはDCDC電源(5V)を回路から切り離して、5V電源は外部からの別給電に変更です。
電源は実験用のドロップ形のものがあるので、それを流用です。ついでに、Dクラスアンプの電源も、実験用電源から
とることにしました。15V電圧なので、出力は落ちますが、まあそこまでは使用しないでしょう.。
ただ、15V電源はLM317によるドロップ電源なので、1.5Aが最大なので、すこし心もとない気もします。


ノイズの原因は、このDCDCからの漏れ磁束のDクラスアンプへの飛びつきのようです。


電源部分をとりはずして、DCDCを回路から切り離しです。
すべてコネクタにしておいてよかったです。作業が簡単です。


ノイズ対策で電源はこれをつかうことにしました。

問題その1への対処は簡単
立ち上げ時に、一瞬だが大きな音量が突出する。
という問題がありましたが、これはPCM5142に命令を書き込む前に、
MUTEコマンド(VOLUME=0)を実行することで、解決です。
これで、電源投入時に音がでることはないはずです。

再度接続しなおして試聴!

また、遅くなったので接続だけして、試聴は明日にでも行いましょう!
しかし、電源をドロップ形の実験用電源に変更したのはいいのだけど、
恒久的にはやはり不便になりそう。専用の電源を準備したいところです。
DCDC(5V)の位置を離すことで、対処になるかもしれません。まあ、
おいおい試してみましょう。

いい感じ! 

大きな音がだせそうなので、試聴開始です。久しぶりに、ビアノジャズを鳴らします。
ノイズもなく、ピアノの優しい音色や力強い音色も十分に楽しめます。
帯域を高次で分割しているので、スピーカの負担も少なく、またイコライザで低音も
持ち上げているので再生帯域は十分です。ただ、スピーカならびにエンクロージャが
安価なこともあり、すこしチープ感もあります。なんせ、スピーカは350円ですからね。
それでも、片チャンネル4個つかって、さらにツイータまでついているので数だけ多いです。
このスピーカの最大の問題は、マグネットが貧弱で、かつ重量も軽いです。
だから350円なのかもしれませんが(勿論、秋月での販売価格であり定価はしりません)。

でも、気楽にマルチウエイのスピーカを駆動できる環境が整いました。

ノイズの原因調査

ノイズの原因は、本体内に搭載したDCDC(5V)も漏れ磁場と推測していますが、
確認のために、離して配置してみました。


このようなものを作って、ノイズの状態を調べてみました。

結果からいうと、効果なしです。ということは、DCDC(5V)は無実だということになります。
いままでの、テストからの推定としては、どうやらノートPC用のSW電源をDクラスアンプに
つかうことが自体が問題なようです。

ということの確認のため、Dクラス電源はドロップ型電源として5V電源はDCDC(5V)とした場合
について調べてみる必要がありそうですが、だんだん面倒になってきました。

とりあえず、本機についての電源はドロップ形電源が必要ということで、蓋を閉じましょう!


まずはこんな形で音楽を楽しんでいます。

ソフトはv3に

RenewDIV5142の一部のPCM5142をDSPだけでなく、DAC(アナログ出力)をつかうソフトとして
v3となりました。これについてはリリースするかな?それより、一度ソフトを綺麗に清書したいところです。
でないと、後でみても何がなんだかわからなくなってしまいそうです。

(おしまい、かな?)


<関連資料>
具体的使用方法
Renew DIV5142をつかった各種接続方法 
※CONTROLLER UNIT for RP2040とRenew DIV5142をベースとした
  使用方法を詳述しています。

関連記事(検討記)一覧
DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き
DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き(その2)
DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き(その3) 
DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き(その4)
DIV5142の統合コントローラ(PICO)を検討する!の巻き(その5)

外部I2C制御のシンプルなDACを検討してみる!の巻き
デジタルデレイ(NJU26902)を試してみる?の巻き
ちょっとTea Time!? 分解能を上げたタイムアライメントを考える!の巻き