ちょっと Tea Time!? RP2040マイコンの3.3V電源の供給実力は? 2025.8.25
最近は、RP2040をつかったマイコンが性能の点やコストの点から、よく使います。
最初は、RasphberryPiのPICOをつかっていましたが、最近ではもっぱらサードパーディのものをつかっています。
というのも価格が全然ちがいます。単体だとPICOの約3割程度の値段です。送料を含めても6割程度、
5個くらい買うと4割程度と安価です。
ただ、安いのには、それだけの理由があって、大きく違うのが3.3Vのレギュレータの部分です。
サードパーティのものは、例外なくレギュレータはドロップ型のLDOです。
それに対して、PICO(純正)はDCDCコンバータを使っています。
そのためPICOの方が3.3V電源を使うときの余裕があります。
今回は、3.3Vの電流容量がそれぞれで、どのくらい使えそうかを調べてみました。
サードパーティのRP2040マイコン(上)とPICO(下)
サードパーティのRP2040マイコンの3.3Vレギュレータはドロップ型のLDO
PICOの3.3V生成はDCDCコンバータです。
使用しているレギュレータのスペックを見ると
サードパーティのものは、正確な型番がわかりませんでしたが、おそらく下記のようなものでしょう。
そう、大差はないはずです。このタイプのものだと、最大で200mA程度までは使えるようです。
たとえばサードパーディのRP2040マイコンの3.3Vレギュレータがこれだとして、200mAまでは流せます。
PICOについては回路図も公開されているので、使用している素子はRT6150BというDCDCコンバータです。
これは800mAまで使用可能なようです。
PICOのDCDCコンバータにはRT6150Bが使われています。800mAまで流せます。
調べてみましょう!
まずは単純に3.3V出力に40Ωの負荷抵抗を接続してみました。
RP2040マイコンのプログラムは、全GPIOを出力に設定してプルアップ抵抗も有りにしたのち、
出力をLOWレベルにして、できるだけ電流を必要とするようにしてみました。
最初は簡単に3.3V出力に40Ωの抵抗を接続です。
測定結果は下表の通りです。負荷接続なし(A)でみてもPICOの方が消費電流が小さいです。
使用している素子はほぼ同じでしょうが、ここでもレギュレータの効率の違いがでています。
そして、負荷を接続したときの効率はサードパーディでは65%です。これは5V→3.3VのLDOでの
原理的な効率(66%)とほぼ同じです。それに対してPICOでは約80%の効率と高いです。
サードパーティ RP2040マイコン |
PICO (純正品) |
|
A. 単体動作時の5Vの 消費電流 |
36mA | 31mA |
B. 3.3V出力に 40Ω負荷(83mA)時 の5V電源電流 |
120mA | 95mA |
C. 増加分(B−A) |
88mA | 59mA |
効率 |
65.2% (83+A)x3.3/(Cx5) |
79% (83+36)x3.3/(Cx5) |
電子負荷をつかって詳細を調査
つぎは電子負荷装置をつかって、負荷電流と出力電圧の関係を調べてみました。
電子負荷装置をつかって、すこし詳しく調べてみました。
まずは負荷電流と出力電圧の関係を調査です。
下表のような結果です。サードパーティのものは、負荷電流が200mAを超えだすと出力電圧が
急激に低下です。おそらく、内部の電流リミッタが動作しているのでしょう。
それに対してPICOでは負荷電流が900mAを越えても、大きな電圧変化がありません。
流石に、これ以上流すと壊れそうなので、ちょっと躊躇してしまいました。
負荷電流と出力電圧の関係です。
次はPICOのDCDCコンバータの効率をみてみました。
出力電流が400mAくらいで最大になり92%程度と高いです。
800mAの負荷電流をかけても、効率は90%くらいあります。
PICOの負荷電流と効率の関係です。800mA流しても効率90%と高いです。
以上の結果からも、サードパーティのRP2040マイコンでは3.3V出力の負荷電流は
最大で100mAくらいが安心できるレベルです。PICOならば800mAくらいでもいけそうです。
これくら流せるなら、LEDバックライトをつかったパネルでもつかえるでしょう。
まとめ
PICOは3.3Vの負荷に800mA程度流しても問題なさそうです。かなりしっかりした設計のようです。
それに対してサードパーティのものは実用上は100mAに抑えるべきでしょう。
サードパーティは値段が魅力なので、負荷の軽い3.3V素子なら接続しても問題ないでしょうが、
それなりに電流を必要としそうなときは、別に3.3V電源を用意すべきでしょう。
(おしまい)